油断できない喘息と言われる病気

ぜんそくは、空気の通り道である気道(特に気管支)が狭くなる、炎症を起こすなどして呼吸が苦しくなる病気です。気道とは、平滑筋という筋肉で囲まれ、粘膜で覆われている空気の通り道です。

狭くなった気道を通じて無理に呼吸するため、呼吸のたびに「ゼイゼイ」「ヒユーヒユー」という苦しい音を発します。ぜんそくは発作的に苦しくなりますが、急性の病気ではありません。その原因は気道の炎症にあり、慢性の病気なのです。

日本では、子どもの5~7%、大人の3~5%が喘息(ぜんそく)ということが分かっています。気道に炎症が起こる背景には、ダニ、カビ、ペットの毛など、原因となる環境危険因子があり、アレルギーによる炎症を起こしています。

アレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)がわかない場合もありますが、同様に炎症を起こしていることは事実で、それが慢性化し、発作のないときも炎症は続いています。

ぜんそく患者の気道は、この慢性の炎症のために敏感になっています。ですから、再びアレルゲンが加わったり、かぜをひいたり、冷たい空気を吸ったりタバコの煙を吸うなど、なんらかの刺激が加わると、次のような反応が起こります。

気管支をとび巻ぐ筋肉(平滑筋)がけいれんによって縮み、気道が狭くなる。気管支の内腔をおおy粘膜がじんま疹のようにむくみ、内腔が狭くなる。

刺激を受けた気管支の粘膜にある腺細胞から粘液が分泌され、それが痰となり、気道の内腔を埋め尽くすので気道が狭くなる。この三つのいずれか、もしくはすべての要素によって、気管支の内腔が狭くなり、その結果、発作が起きるのです。ぜんそくは英語で「asthma(アスマ)」といいます。

語源はギリシア語で、「喘ぐ」を意味します。旧約聖書やホメロス(古代ギリシアの詩人)の詩の中にも、「アスマ」という言葉が多数登場し、古代から多ぐの人々がぜんそくに悩んでいたことがわかります。

ヒポクラテス(古代ギリシアの医学者)は、ぜんそくをてんかんみたいなものではないかと書いています。てんかんは昔、神のお告げだと言われていた時代があり、ぜんそくも、突然起こるという点ではてんかん発作によく似ていたので、てんかんと同様に神のお告げだと解釈されていたようです。

また、当時はぜんそくの原因がわからず、心臓が悪くて「ゼイゼイ」する場合も、ぜんそくと呼んでいたそうです。17世紀ころからぜんそくの概念もしだいにまとまり、気管支のけいれんやアレルギーと関係があること、心臓の病気とは異なることなどが認識されてきました。

そして、悪いときばかりでなく、よくなることもある「可逆性」という性質があることもしだいにわかってきました。